高円寺、長屋の端で

高円寺駅から南西に歩くこと6分。古着屋がラーメン屋が並ぶにぎやかな喧騒が、少しだけやわらいできて人の通りもまばらになるあたりにひっそりと、だけど確かに息づいている木造長屋があります。

2階は住居、1階にはスパイスカレー屋にカフェ、居酒屋など。まるで屋台村のように、ひとつひとつが違うリズムを持ちながら並んでいて、だけどどこか同じ空気感で繋がっている感じがします。

今回ご紹介するのは、そんな6つの区画のいちばん端っこ。もともとはヘアサロンでした。縦に長く、奥に水まわりがまとまっていて、入り口側から奥まですっと視線が抜けていきます。勝手口があることで空気の入れ替えも容易です。

ファサードは前面道路からの視認性もよく、今は掠れた白塗装の状態。窓にちょっと気の利いたサインを書いたり、塗装し直すことで印象的な見た目に変わりそうです。

床は入り口側がフローリング、奥はモルタル土間。壁は両側とも木板貼り。使い込まれた素材のざらつきが、かえって空間に落ち着きを与えています。イメージが合えば、手を加えるだけで内装を完成させることもできそうな状態にも見えます。

用途は物販店舗や事務所、倉庫として。縦に長いことをうまく活用して、奥にスタッフルームを設けたり、別々の2つの要素を組み合わせたり。

高円寺という街の空気にほどよく混ざりながら、でも少しひっそりと、そんななイメージでこの場所を活用していただけたらと思います。