「パン屋限定」で入居者を募集した大家さんの目論み近藤風香(東京R不動産) 大家として、大田区蒲田エリアで様々な試みを行っている茨田(ばらだ)さん。所有する賃貸物件で「パン屋さん」に限定して入居者を募集したところ、町に愛されるパン屋「SONGBIRD BAKERY」がオープンしました。通常、入居者に「条件づけ」することは空室期間が長引くリスクを伴うものですが、一体どのような目論みだったのでしょうか。 ![]() 大家の茨田(ばらだ)さん。「大家としてやれることはいくらでもあるし、方向転換も柔軟にしてみればいい」 誰かに物件を貸して家賃収入を得る「大家さん」。世の中の大家さんは、「どうしたら自分の物件を借りてもらえるかな」と日々考えています。 「このマンションの1階を『小さな商店街』にしたい」 ![]() 舞台となったマンション。向かって左端をパン屋さん限定で募集することに ![]() 「パン屋さん限定!」と入居者が募集された区画 舞台はこちら、大田区にあるマンション1階の区画。茨田さんには「こんなお店に入ってほしい」というイメージがありました。 調査で見えた「パン屋空白地帯」というポテンシャル 早速、マンション周辺の「パン屋調査」をしたところ、駅前にチェーンの店はあるものの、個人経営でクリエイティブな雰囲気を持つパン屋は見当たらないことが発覚。「ここは、パン屋開業の穴場では?」と、仮説が現実味を帯びてきました。 ![]() パン屋誘致にあたって行った調査。アパート周辺のパン屋マップ(左)、店舗に面する道の通行量(中央)、周辺の年齢ごとの人口構成(右) ![]() 近隣には大きなマンションがあり、パン屋への集客が見込みやすい立地。隣の橋の向こうの公園で、買ったパンをほおばることもできます でも、パン屋さんなら何でもいい訳ではなくて。入ってほしいのは、店の前を通り過ぎるたびにちょっと気になってしまうような、そのパンのことを考えると胸が踊るような...そんなパン屋さん。 東京R不動産で、パン屋さんへのラブコールを発信 ![]() 「パン屋さんへのラブコール」という物件タイトルで入居者を募集 こうして、東京R不動産のサイトでテナントの募集がスタート。募集コラムには、オーナーの気持ちが正直に綴られました。 パン屋さん限定で募集します! さあ、あとはアトリエ系パン屋さんの申し込みを待つのみです。 お手製パンフレットで、ラブレター作戦 入居者募集を開始すると、「パン屋以外の店舗だけれど相談できますか」といった問い合わせもありました。しかし茨田さんは、「大変ありがたい話だけれど、もう少しパン屋さんを待ってみたい」と、運命のパン屋を夢見て募集を続けることに。 ![]() パン屋以外の可能性も広がる物件ですが、それでもパン屋にこだわりました そうしてしばらく募集を続けましたが「アトリエ系パン屋さん」からのお問合せは数が限られ、申込の検討にも時間がかかりました。というのも「パン屋」は厨房の設備機器など初期費用が多く、開店のハードルが高い業種。「パン屋を開きたい」という人の母数が、そこまで多くないのもまた事実でした。 「いつかは、この『パン屋縛り』を諦めなきゃならないのかなあ...」。そう弱気になってしまってもおかしくないなか、茨田さんもR不動産も、まだまだ「パン屋誘致」を諦めません。 ![]() 茨田さんが仲間と制作した、18ページにわたるパンフレット「パン屋さんへのラブコール」。物件の分析とポテンシャルや、パン屋さんへの熱い想いを盛り込みました ラブコール中に起こった2つの出来事 そんななか、2つの転機がありました。ひとつは、募集中に世の中がコロナ禍となり「おうち時間」が急激に増えたこと。その流れで「『都心』や『駅近』だけでなく、『暮らしている家の近く』にも素敵なお店が欲しいよね」という空気が世間に広まり、住宅街の店舗物件にも注目が集まるようになりました。 ![]() 隣の区画に入居した「SSYET」(エスエスイエット)は、少人数でゆっくりとスイーツをいただけるカフェ 洗練されたカフェが入居したことで、建物の路面が華やぐことに。パン屋さんの募集ページでは「おとなりにカフェがオープン!」と、物件の新たな価値をアピールすることにも繋がったのです。 待ってました、アトリエ系パン屋さん! こうしてよい機運が醸成されはじめたころ。ついに、待ち望んでいたタイプのパン屋さんから、同時期に複数の申し込みが! ![]() 笑顔の素敵な本藤さん。「やさしいお人柄で、きっとこのまちに愛されると思った」と茨田さん ![]() 地域の方々やマンションの住人にも愛される人気店「SONGBIRD BAKERY」 「東京R不動産の本を読んで、サイトのことはもともと知っていました」と話してくれた本藤さん。どんな物件を探していたのでしょうか。 面談と融資交渉で見えた、お互いの頼もしさ ![]() 当時の勤務先で作ったパンでも十分実力は伝わるのに、面接に持ってきてくれたのは、家で焼いた「自分のパン」でした(写真はSONGBIRD BAKERYの商品) 茨田さんとの面談の際、本藤さんは自作したパンを持ってきてくれました。 「ラブコール」が実を結んだ、大家としての「貸す技術」 ![]() 「こんなに『パン屋コール』をしておいて、店が繁盛しなかったら申し訳なかったけれど、結果で証明してもらえて一安心しました」(茨田さん) 所有する物件の区画が空いた際に、ただなんとなく入居者を募集するのではなく、「同じ建物に住む方々へのメリット」や「まちの魅力」といった長期的な目線でパン屋さんを誘致した茨田さん。 ◆物件オーナーの方へ ●お店情報 店名:SONGBIRD BAKERY(ソングバードベーカリー) ![]() Before:アトリエ系パン屋さんを待ち望んだ『パン屋さんへのラブコール』 ![]() After:地域とマンションをより魅力的にしている『SONGBIRD BAKERY』
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