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2009.6.7

13|たまには妄想

林 厚見(東京R不動産/SPEAC inc.)
 

前回はマジメな話だったので、今回はちょっとゆるめでいきます。

物件をつくる仕事をするとき、現実を直視することは絶対に重要ですが、一方で柔らかい発想や思いつきがなくなったら"終わり"です。だから時には現実性はちょっとさておき妄想をしましょう。

東京で広い部屋に住むのはなかなか大変。だからいつも困るのは収納。「収納が余って困っているの!」という悩みを相談されたことは今のところ一度もありません。というわけで今回のお題は、収納。
壁一面を収納にしようか…。天井近くに棚板つけてCDでもずらっと並べるか?…いっそのこと天井を金網にして何でも吊っちゃうか! …まあ、どれもアリといえばアリですが。 じゃあ"床の下"で何ができるか考えてみることにしましょう。

妄想するのは「箱床ユニット」。床はすべて、90cm四方の深さ25cmくらいの箱(箱床ユニット)を並べてできています。
ユニットの種類はいろいろ。「普通に洋服をしまうための箱」、「パカッと開けるとソファになる箱」、「シングルベッドユニット」、「ワインセラーユニット」や「鍋大会のためのコンロが組み込まれている箱」もあります。

こんな具合に。

色んなユニットを組み合わせることができます。全部しまってしまえば部屋は広々スッキリ。


箱床ユニットは、標準モジュールが決まっているので、家具メーカーや家電メーカーなんかも製品開発に参入、様々なアプリケーションユニットが開発されていきます。「フタがガラスの照明ユニット」、「飛び出るテレビユニット」やスピーカーボックスはもちろん、「ルームランナー」に「癒しの枯山水ユニット」、「ミニ茶室」や「ネコハウス」。
これを中国あたりでバンバン流行らせて、中古ユニットの流通市場もできちゃったらどうしよう?

…と妄想を広げて見たものの、まあ実際にはいろいろ難しいわけで。
現実化の目途は今のところ立っておりません。ま、妄想なんで。


…ところが最近、そんな発想が形を変えて我々の現実のプロジェクトに活かされています。もちろん枯山水やルームランナーがあるわけではないですが…。

そう、箱床を、90度くるっと縦にした感じ。
これは、ある線路際の敷地に建つ集合住宅の計画ですが、一番の問題である「電車の音」を遮りるために、廊下を隔てたところに収納BOXを配置することで、音の問題を解決しながら収納スペースも増えるという一石二鳥アイディア。季節外れの服やスノーボードなんかはここに入れて部屋もすっきり、というイメージです。これによって、法規上の制限をうまく逃れて有効な面積を増やすこともできました。


こんな具合ですね。けっこう便利なはず。

そんなわけで、たまには妄想広げましょう。何かに必ずつながります。
ではまた次回。

* なお箱床ユニットは、友人の各務泰紀氏(シェア向け物件紹介サイト運営)との共同作成によるものです

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このブログについて

世の中にもっと魅力的な物件を増やしたい。不動産を持つ人・つくる人が、住む人・使う人と一緒に幸せになるにはどうしたらいいだろう?そんなことを考えつつ、感性とアイディアにあふれるお客さまたちから日々ヒントを得ながら不動産事業や投資・経済のことを考えてみる。

「東京R不動産」を共同運営する不動産企画会社SPEACのメンバーがおくる、心あるオーナーさんのための、ビジネス目線のコラムシリーズ。

著者紹介

林 厚見(東京R不動産/SPEAC inc.)

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