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2008.10.26

01|プロローグ

林 厚見(東京R不動産/SPEAC inc.)
 

「東京R不動産」では今まで、2千件近い物件を仲介してきました。その中には、半年間も借り手がつかず不動産屋に見捨てられていた物件が、サイトに掲載した途端に多くの人が押しかけて即成約といったこともしばしばありました。

効率の名のもとに大量につくられてきたツマラナイ建物たちのそのスキマで、僕らは既存の不動産流通では決して生まれない出会いやまだ満たされていない新しいニーズを発見し、同時にオーナーや事業者にとっての新しいビジネス機会があることを確信しています。

ともかく過去の"効率的な"やり方はもはや効率的ではなくなってしまいました。一方最近では"差別化"の名のもとにシャレたマンションが次々に出来ています。しかしそういう物件の中にはカッコいいけれどツボを外しているために入居者が入らない物件もたくさんあるのです。

何が問題なのでしょうか?
「創造性」と「一貫性」、そのどちらかが欠けているということです。

不動産はファッションと異なり、数十年にわたって価値を持ち続けねばなりません。また、住処や仕事場を選ぶとき、人は意外と慎重なものであり、生活や仕事のスタイルはそんなに簡単に変わるものでもありません。だから、一瞬芸で目を引いてもあまり意味がないのです。そこでは一歩先を見た柔軟で大胆な発想やイメージも必要になると同時に、地道な気遣い、本質と基本を押さえることが必要です。これはなかなか難しいことで、だからこそつい派手に見える企画や設計者の自己満足的なアイディアに惚れ込んで失敗する事業者も現れてしまうのでしょう。

賃貸不動産はすべからくロングセラー商品でなければなりません。場所と、コンセプトと、ディテールと、その売り方、価格までが一貫性をもって組み合わされて、初めてその投資は成功し、資産は活かされるものです。創造的な知恵と、経験とバランス感覚、そして事業全体を見つめる視野が必要なのです。

僕らは集合住宅やビルの企画・設計・プロデュース、あるいは投資や資産活用のコンサルティングもしています。そこでの僕らの役割は、コンセプトを生み出すこととともに、アイディアやデザインをマーケットやお金と正しく結びつけることで高い事業価値を生んでゆくことです。僕らは資本主義に抵抗することなく、むしろ戦略的にマーケット〜ニーズ・出会い・状況〜を創り出していきます。"良いモノをつくると儲かる"状況があってこそ良いものがはびこり、それが新しい価値観やライフスタイルをつくっていくと思います。

このコラムでは、モノにこだわるからこそビジネスにこだわる僕らが、事業者・投資家・オーナーの皆さんに向けて、ヒントを発信していきます。

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このブログについて

世の中にもっと魅力的な物件を増やしたい。不動産を持つ人・つくる人が、住む人・使う人と一緒に幸せになるにはどうしたらいいだろう?そんなことを考えつつ、感性とアイディアにあふれるお客さまたちから日々ヒントを得ながら不動産事業や投資・経済のことを考えてみる。

「東京R不動産」を共同運営する不動産企画会社SPEACのメンバーがおくる、心あるオーナーさんのための、ビジネス目線のコラムシリーズ。

著者紹介

林 厚見(東京R不動産/SPEAC inc.)

PC版 copyright(c)東京R不動産