下町という言葉を聞いたとき、なぜか思い浮かぶ商店街のイメージ。対面で買い物ができて人情がみえたり、古い木造建築や、小さい個人商店があったり、みたいな風景の要素がそう感じさせるのでしょうか。それにしても、なんだろうあのあたたかさ……。
数ある商店街のなかでも、ぬくもりを感じる商店街の特徴として、ほっと心がほどける瞬間が小さく散らばっているように思います。
老若男女いろんな人が通りで思い思いに過ごしていたり、お店の人ともちょっと喋れる適度な距離感があったり、そんなところに魅力を感じます。
今回はそんな“ぬくぬく度”が高くて、「近くに住みたい!」と思う商店街をご紹介。
おかず横丁
台東区にある商店街。近隣に働く人がおかずを買って帰ったことからこのように呼ばれたのだそう。並んでいる看板建築などの建物がとにかくステキで、ロケ地にもなるほど絵になります。
お話を伺った魚屋のお父さんが、あったかいのなんのって感動しました。(あらやきが絶品でした)歩いていると、ご近所どうしの会話もちらほら聞こえます。赤い提灯と、さりげなく流れる懐メロもなんだかいいなあ。
この商店街では、月に一回「ものづくり横丁」というイベントがあったりして面白い! 周辺のものづくりパワーも感じられます。近隣の「佐竹商店街」に足を伸ばしてもいいですね。
おかず横丁 とごし公園通り〜宮前商店街
戸越公園駅から戸越駅の間にある商店街。「宮前商店街」は主に個人商店が並び、しっとりと落ち着いた雰囲気。「とごし公園通り」は駅近なのでチェーン店もあり、利便性と賑わいがある感じが好きです。
宮前商店街を少し脇に抜けると、戸越八幡神社があって、雰囲気になんとも癒されます。またカフェやコーヒーの焙煎所、ジェラート屋など新しい店もちらほら見受けられ、ついつい足がとまってしまいます。
少し歩くと、王道のビッグな商店街「戸越銀座商店街」にも抜けられます。
宮前商店街 田端銀座商店街
駒込駅と田端駅の間にある商店街。道幅が細めの商店街ってなんか“ウォーカブル”でいいですよね。八百屋、魚屋、肉屋をはじめ、スーパーもあり自分の日常にあるとうれしいなあ! という印象です。
おでんの種屋(!)には椅子が置いてあり、アツアツのまま食べられます。ちなみにおつまみ揚げ、最高でした。
ズキュンときたのは、フラッグに描かれている、マスコットキャラクターの「タバギンちゃん」。かわいい……。キュンキュンします。
商店街のフラッグ好きです。北側には他にも「霜降り商店街」や「アザレア通り」などがあり、周辺の商店街の充実度はすごいと思いました。
田端銀座商店街 ぬくもりの正体は
商店街は昔から商業の中心であるとともに、サードプレイスの役割を担っていたように思います。今でもその良さが残り、自然とにじみ出ているところは、はじめて訪れてもぬくぬくと、あたたかく感じるのでしょう。
店がそれぞれ自立しているのに、連帯感があるのがいいところ。あとサードプレイスとしての役割が、気づかないぐらいまちに溶けているのが面白い。
そんなところが下町らしさだと思えます。ぬくいと思える商店街は本当に貴重なので、出会えるとうれしくなります。
個人的には、買い物をするときに誰とも話さずに家に帰るより、一言でも会話がある方が楽しいと思っています。
商店街の店主はそれぞれの分野のプロなので、いろんなことを教えてもらえたりもします。それにコロッケ片手に歩いたりして、家までの道が楽しいと「あれそんなに歩いたかしら……」という相対性理論が味わえるんですよね。そういうちょっとしたことの積み重ねが暮らしを豊かにしてくれます。
各所、コロナ対策の工夫も見られました。遠くへ行くことが減った分、近くにこのような場所があるといいですよね。このごろ近隣で買い物する方も増えたのではないでしょうか?
時代の変化とともに閉店が続いてしまい、商店街として機能しなくなるところが多くなっているのも事実。今まで以上に地域でどのように経済がまわっていくのかも気になるところです。
次回は、商店街にも多い「職住一体」や「職住近接」の暮らし方の、これからの可能性や楽しみ方についてちょっとだけ妄想してみます。