2024年上半期、東京R不動産に掲載された数々の物件たち。その中から賃貸/売買の住宅や別荘、オフィス・店舗物件をピックアップして9件をご紹介します。「もしこの家で暮らすなら」「ここでお店を開くとしたら」と妄想を膨らませてみてください。※成約済みの物件もございます。
(1)羽根木美術館!?
売買/住宅 152㎡(建物)105㎡(敷地)世田谷区羽根木 世田谷区羽根木の住宅街にひっそりと佇む、美術館のようなこの戸建。玄関に入ると、中庭に面したガラス面と階段上の吹き抜けから光が降り注ぐ、なんとも気持ちのいいエントランスがお出迎えします。
外部からの視線は遮りつつ、中庭に向かって開いたデザインは、家族がそれぞれの部屋に分かれつつ、お互いに気配を感じられるのがとてもよい、というのは売主のコメント。
アート好きな方や作家さんのアトリエ、料理研究家の方など、普通のマンション暮らしでは叶えられないニーズのある方には特にフィットしそうな物件です。
土地価格も建築費も高騰しすぎな今、デザインのいい中古戸建をリノベして住み継ぐというのも、いい選択肢ではないでしょうか。
(2)物語のあるリノベーション
売買/住宅 56㎡ 豊島区雑司が谷 リノベーションという言葉が普及して久しいですが、最近はどれを見ても同じように感じてしまうようにも。元になる建物も、設計やデザインする人もそれぞれなのだから、いろいろな物件があっていいはずなのに。
そんな中「まだ見ぬリノベーション、空間をつくる手法」の確立を目指し、実験的に長い時間向き合って生まれた物件です。そこにある素材たちをどのように次につなげていくのか、プロフェッショナルたちがとことん考えました。
この物件だからこその素材たちと見せ方。ひとつひとつの場所やパーツに歴史や試行錯誤のストーリーが詰まっていて、リノベーションって本来こういうものだったよなぁと気付かされました。
この物件の魅力は、完成形はもちろんですが、つくるプロセスにあると思います。詳細はグループ会社toolboxの連載「工事班の現場通信」をぜひ読んでみてください。
(3)太子堂の顔になる -路面店舗-
賃貸/店舗 15㎡ 世田谷区太子堂 三軒茶屋駅から茶沢通りを北上して、商店街脇を曲がった先の角地にある、木製の外観とウッドデッキが印象的な小さな路面店舗。
店舗部分はコンパクトですが、ウッドデッキも利用できるので、工夫次第では広く使えます。天高は約3mと開放的。大きな木製サッシによって道路との繋がりを感じる空間なので、まちの方々がふらっと入って来られるような、開かれた店舗をつくれそうです。
こうした人通りのある視認性のよい立地で、内装に手を加えることなくオープンできる小ぶりな路面店が出る機会はそう多くありません。いつかは実店舗を、と願う方にチャンス!な物件ですね。
(4)欲張りなスローライフ
賃貸/住宅 143㎡ 静岡県賀茂郡東伊豆町大川 建築家による設計、オーシャンビュー、源泉かけ流し70度以上の温泉が入り放題の平屋。なんとテンコ盛りなことでしょう。
海側ほぼ全面に設けられた木製の開口窓、天井の高さによる開放感、アールをきかせた壁、タイル張りの柱など。薪ストーブがよく似合う、モダンな内装です。室内に入るなり洗練された空間に圧倒されてしまいました。
高台のため日照条件がよく、ところどころ天窓から自然光を落としていたり、日中は照明をつけずとも気持ちよく過ごせそう。なにより、室内からでも海が見えるこの環境が手に入るなんて、羨ましい限りです。完全移住の方はもちろん、二拠点の週末別荘などにもよさそうだと思いました。
(5)歴史を紡ぐフラット
賃貸/住宅・店舗 44㎡ 港区麻布台 賑やかな六本木の街からは少し距離を置いた、閑静な住宅街にひっそりと佇む趣きのあるフラット。1936年に建てられ、2019年に登録有形文化財に指定された、歴史ある建物の一室です。
時間の経過によってしか得られない重厚な雰囲気。室内に入るとなんだかデミタスカップで深煎りのコーヒーを飲みたくなる気分になります。
この建物には、電灯・カーテンの色・撮影など、住人の方々共有のルールがいくつかありますが、独特な時間の流れや空気感を持つ場所で暮らした経験は、きっと忘れられないものになるでしょう。
(6)異国の感性
売買/住宅 79㎡ 八王子市みなみ野 のどかな八王子の住宅街に、ここまで洗練された空間が待っているとは、想像をしていませんでした。斬新かつ、洗練されたデザインが詰め込まれた一室で、どこをとっても美しい空間は、まるで外国のブティックホテルのよう。
靴箱やクローゼット、冷蔵庫置き場など、生活感を感じてしまうアイテムを、上手に隠しながら配置しているのも見事です。代わりに目に入ってくるのは、普通の想像力を超えてくるデザインたち。
とことん美しく、凛として暮らしたい方には、堪らない空間になっています。
(7)心揺さぶられる空間
賃貸/住宅 56㎡ 渋谷区東 あまりにもドラマチックで、非現実的。見上げるほど高い天井高は約3.7mで、ギャラリーのような空間です。窓の先には神社の木々が広がり、やさしい木漏れ日がゆらゆらと、モルタルの床や塗装の壁面を照らします。
人が集まるリビングはできるだけワイドに、寝室や風呂など自身の生活を整える場所は、巣にこもって落ち着くようなイメージでコンパクトにと、メリハリがつけられた間取り。
この空間をどのように作り上げていったのか、という問いかけに対するオーナーのアンサーも印象的だったので、ご紹介させてください。
「普段、何気なく受け入れてしまっている標準的で無難な住宅のスケールをずらして、いつもと違うサイズの空間に身を置いて過ごしたかった。頭や身体や感覚は、身を置く空間に左右されると思うので。間取りや設備や仕上げなど賃貸だから無難にこうしておこう、でなく、自分が住むならどうしたいか、自分がうれしい感覚になるのはどれか、で考えました」
(8)アパートメント in ファーム
賃貸/住宅 48㎡ 立川市富士見町 こんな物件あり?!と久しぶりに衝撃をうけた物件。ブドウ畑に面するというよりも、「その中にある」といえる場所にあるメゾネットの集合住宅です。
1階のテラスの先にはブドウ畑が地続きに広がり、どこまでが畑でどこからが賃貸区間なのか、ちょっとわからなくなるような敷地のつくり。柵などで区別はされておらず、ダイナミックな景色がダイレクトに楽しめます。
テラスに腰掛けて、ぼーっと畑を眺める時間が贅沢な時間になりそう。どこか海外の田舎にいるような気分にさせてくれます。
(9)95年目のアートビルディング【文化財】
賃貸/住宅・店舗・その他 44㎡ 港区麻布台 昭和4年、当時の流行「ドイツ表現主義」をいち早く取り入れたこの建物は、眼科医の診療所兼自宅として建築されました。昭和初期のモダンな雰囲気が漂っている「町の名建築」です。
玄関は鉄平石が張られて重厚な面持ち。上階はしずく型の窓や、ぽってりと突き出た庇がなんとも可愛らしく、対極的な魅力もあります。
玄関や資料室のドア、照明など至る所には、大正から昭和初めに活躍したステンドグラス作家「小川三知」氏の作品が。実は三知氏はこの建物の建築主の実兄で、長男の自分の代わりに家業の眼科医を継いだ弟のために作品を寄贈したのだそうです。
以上、2024年上半期のピックアップ物件でした。グッとくる物件との出会いはあったでしょうか。
東京R不動産では独自の視点と価値観で不動産を発掘し、サイトで毎日紹介しています。今後ご紹介する物件のラインナップもお楽しみに。