閉ざされた団地をまちにひらいて。住人が”育む”にぎわい近藤風香 一般的に、賃貸住宅の価値は「新築の瞬間がピークで、そこから下がっていく」とされています。しかし「入居者の価値観と運営体制」によっては、むしろ建物の価値を育んでいくこともできるのです。そんなポテンシャルが、使われていなかった団地に眠っていたようで......。 ![]() 「団地」と聞くと、どんな印象を受けますか。ちょっと古そうで、人がぎゅっと集まって住んでいて、そういえば目の前には用途不明の“ちょっとしたオープンスペース”がある......そんなイメージもあるでしょうか。 そんな団地がもし「きれいで使いやすく」なって、目の前には「素敵なオープンスペース」が用意され、「同じ価値観を持つ人たち」が集まれば、一気に素敵なイメージへと変換されるかもしれません。 今回は、そんな変貌を遂げた、そしてまさに遂げている二つの団地をご紹介します。 JR東日本の旧社宅が生まれ変わった「アールリエット高円寺(高円寺アパートメント)」 ![]() 入居者と地域の方々で賑わいを見せる、通称「高円寺アパートメント」 高円寺駅の付近にある「アールリエット高円寺(高円寺アパートメント)」をご存じでしょうか。 ![]() ブロック塀でまちと分断され、目の前のスペースも活用されていなかった社宅時代 実はここ、JR東日本の社宅として使われていたのですが、需要縮小や老朽化に伴って2016年から閉鎖されていました。 ![]() 住居区画だけでなく、住みながら店やアトリエとしても使いやすい区画など、暮らしに合わせてさまざまな区画を用意 入居者募集に際して、東京R不動産が意識したのは「価値観の重なる層を集める」こと。 当事者として住み込みで向き合う「女将」 ![]() 元々高円寺に縁があったわけではなかった宮田さん。今ではすっかり街になじんでいるよう アールリエット高円寺は、企画の段階からこう考えられていました。「住んでからがスタート。建物ができたら終わりではなく、運営への注力も重要だ」。そこで住人や地域の人々との「コミュニケーション促進役」となる方を呼ぶことに。 今度は東武鉄道の旧社宅が「ミノリテラス草加」に! ![]() 団地ならではの贅沢な敷地は、まちのリビングとして広場と畑になる予定 JR東日本によるアールリエット高円寺のオープン(2017年)から7年が経った今。東武鉄道も、遊休資産となっていた社宅を整備して一般向けに貸し出そうと、2024年4月に「ミノリテラス草加」をオープンさせました。舞台は埼玉県の草加市。東京都足立区の少し北に位置する街です。 子どもの居場所を意識した空間づくり ミノリテラス草加のプロジェクトでも、建物前のオープンスペースを「広場」として開放することに。 ![]() フェンスに囲われて立ち入り禁止になっていたスペースを活用 居住区画は、郊外ならではのつくりでアールリエット高円寺より少し広め。社宅時代の小分けの間取りからリノベーションして部屋をつなげたことで、子育て世代がゆったりと自由度高く暮らせるようになりました。 ![]() 面積と間取りは全室同じですが、リビングと洋室の関係性や細かな仕様はフロアごとに異なっています 草加で広い顔を持つ、頼もしい運営メンバー ![]() 住人の暮らしに寄り添う、5人の立ち上げメンバー ミノリテラス草加を運営するのは「株式会社ソウカブンカ」。 ![]() ミノリテラス草加をサポートする、永田さん(若旦那)・小島さん(若女将) 永田さんはもともと、静岡県沼津市で家具作りや内装の仕事をしていました。奥様の地元である埼玉県に移住することを考えていたところ、ちょうど今回のサポート役の募集を見つけたそうです。「僕には3歳の息子がいるのですが、沼津では地域で見守りながら育ててもらっていました。そんな子育てができる場を自分も作りたいなと思っていたんです」 サポート役に見守られ、成長していく集合住宅 ![]() イベントは、地域を巻き込む大きな規模から、住人のみのコンパクトな催しまでさまざま ご紹介した二つの団地の運営にあたり、「暮らしを楽しむことに積極的な住人」を支える「信頼のおけるサポート役」はとても大きな存在です。 ![]() ミノリテラス草加の「おひろめ会」は、テナントのプレオープンなどで大盛況 一方、「ミノリテラス草加」はまさにこれからというフェーズ(24年4月オープン)。今後の目指す姿について、サポート役のお二人は「住人の方や地域の方にとって、居場所の選択肢の一つになること。イベントの時だけでなく日常でも、ふらっと気軽に来てもらえる場所にしたい」と話してくれました。 団地再活用の事例から見えてくるエリアリノベーションの可能性 一般的に、建物の価値は「建てられた瞬間がピークで、そこから経年劣化を理由に下がっていく」とされています。しかしこれからの集合住宅の価値は、「いかに新しいか」だけでなく「どんな価値観の人たちが入って、どう運営されていくか」も鍵になりそうです。 ![]() 暮らしている人々によってじっくりと育まれていくアールリエット高円寺 ![]() ミノリテラス草加、おひろめ会での「農園びらき」。みんなで育ててみんなで食べる日を楽しみに 二つの事例から見えてくるのは、団地のリノベーションと再活用によってローカルな人たちがじっくりエリアの価値を育んでいくことが、エリアリノベーションにつながるという可能性。 Instagram |
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